オーストラリア短期留学 2

 8月21日~28日までの8日間、三鈴学園の英語教室に通う小2~中2の10人の子どもたち、遠藤先生とオーストラリア・ケアンズに研修に行ってきました。とても楽しく、心躍る本当に価値ある短期留学でした。

 ケアンズでの私たちの拠点は、Sun Pacific College(SPC)という英語中心の語学学校です。校長はタカさんといわれる鹿児島出身の日本人です。到着した日の朝、学校の校舎から離れた所で、ホームステイをするために大切なことを日本語で教えてもらい、ぜひそうするように言われました。その内容は、次のようなものでした。

◎最低限のマナー

  ホストファミリーのお父さん・お母さんの名前は、完璧に覚えておくこと。

◎ホストファミリー(ほとんどボランティア)の家で気持ちよく過ごすポイント

 (1)ホストファミリーに、笑顔で大きな声であいさつをすること。

    お礼を言うことは特に大切。一日に10回は『Thank you so much』と言うこと。

   絶対に部屋にひきこもらず、リビングなどファミリーがいるところでくつろぎ、行動を共にすること。

 (2)部屋の片付けを毎日自分できちんとすること。

    スーツケースを開けっ放しにしていたり、ベットの寝具をグチャグチャにして出かけないこと。寝る前に荷物などを片付けておくこと。部屋を汚したら絶対にいけない。

 (3)食事を残さず食べる努力をすること。

    食物アレルギーについては最初に伝え、食べるのを断ること。それ以外の物はたとえ嫌いな食べ物でもおいしいと言って、我慢して全部食べること。ホストファミリーの方があなたのために一生懸命につくってくれたものだから、好意に答えなくてはいけない。

 (4)ホストファミリー宅に世話になっている子ども同士(二人の三鈴学園の子ども)も、ホストファミリーの家では、日本語を話さないこと。

    ホストファミリーの方は日本語が分からないので、日本語で会話していると内緒話をしているようで、気を悪くする。うまく通じなくても24時間、英語を話すこと。身振り・手振り・擬音などをうまく使えば伝わる。その積み重ねが語学学習に一番大切。

 

 『なるほど。その通りだ!』と私(建治)は思いました。しかし次の瞬間、ホストファミリーの名前も覚えていなかった三鈴学園の子どもにとって、どの課題も激しく難しいなと不安になりました。そのような心の準備も実地練習もしていません。(1)(2)はできるかもしれません。しかし(3)(4)はかなり難しく、ホストファミリーに迷惑をかけるなと心配になり、暗い気持ちになりました。子どもたちもホームステイが不安になり、暗く辛そうな顔になっているだろうと、一人ひとりの様子を見ました。すると意に反して、10人とも涼しい顔でニコニコ笑顔です。『おいおい、言われたことの意味が分かっているのかい?できるのかい?』と心の中でつぶやきました。でも次の瞬間、違う思いがひらめきました。

 どんなに大変で困難な状況でも、ニコニコ笑顔で楽しく努力していく。明るい気持ちで前に進んでいく。結果はそれについてくる。心配や不安な気持ちはいらない。これこそ三鈴学園が目指している『逞しく生き抜く力だ!』と子どもたちに教えられました。私も心配や不安が吹き飛び、また心からの笑顔になり、ルンルン気分に復活しました。これが留学なんだ。日本にいてはなかなか体験できない「生き抜く力」を身につける経験なんだと思い知らされ、元気が出ました。

 タカ校長先生の話の後、近くのケワラビーチまで散歩しました。そこは珊瑚礁の遠浅の海で、美しい白い砂浜に透明な海水が打ち寄せ、爽やかな風が吹いていました。ビーチに着くともう大変でした。子どもたちは走り回り、裸足になり海に入っては、はしゃいで大声を出します。少し迷惑かなと思い周囲を見ると人影も少ない。私も我を忘れて大声を出しながら海に向かって走り出していました。

 その日の夕方、子どもたちはホストファミリーと対面。少し緊張しながらも笑顔でホームステイ先に帰って行きました。                                   ( 建治 )