カール・ビッテの0歳教育

 七田式幼児教育の基礎になっている理論に『才能の法則』があります。七田眞先生はこの理論に戦後間もなく出会われ、我が子に実践されながら、幼児教育を始められました。七田先生の著書の中から、カール・ビッテの教育を改めて紹介します。七田教育・三鈴学園の指導の原点となる理論です。

 19世紀の初め、ドイツの片田舎にカール・ビッテという牧師が住んでいました。ある日、彼は学校の校長先生や警察署長など村のインテリたちと話をしていました。その中で、頭が良いのは、生まれつきか、教育によってかという話になりました。そこにいた誰もが知能や才能は生まれつきであるという意見でしたが、カール・ビッテは次のように述べました。  『子どもというのは、元来考える動物だから、彼らの活動が始まる瞬間から見たもの、聞いたもの、触れたものについて考え、結論を下していくだろう。もしその子を全く指導しなかったなら、一人で正しく判断する力を持っていないから、良くないことに興味を持ったり、間違った考えを身につけるようになる。こうして得た悪い習慣や能力は、その後の教育で矯正することは、極めて困難なのだ。これまでの伝統的な教育は、生まれつきの才能というものに重きを置きすぎている。教育の力は、普通に考えるより、はるかに強大なものだ。もし生まれたときから、子どもに望ましい教育を与えてやれば、いくらでも知能の高い子どもに育てることができ、すぐれた才能を身につけさせることができる。』  そして、彼は村のごく平凡な女性と結婚し、子どもができると、0歳教育を行い、6歳の頃から外国語を教えました。その子は8歳には6カ国語を話すようになり、13歳で哲学博士になり、16歳で法学博士を取りました。

 ビッテは、子どもに繰り返し教えました。最初は目に見えないくらいの少しずつの進歩ですが、成長し出すと急に勢いよく伸びていきます。これを「ビッテ効果」といいます。この点を理解していないと、1年やっても進歩が見えないからと、止めてしまうことになります。一度芽を出し始めると、無限に伸びる能力を持っていることを忘れてはなりません。この逆は「ホーソーン効果」と呼ばれています。10歳以上の子どもに現れるもので、新しいものに対する興味から、最初はぐんと効果が上がりますが、すぐに新鮮さを失うため、能率が上がらなくなり、進歩はある範囲内にとどまります。

 「子どもの家」で有名なオランダの教育家、モンテッソリも同様なことを言っています。赤ちゃんは胎生的吸収力(大人にはない、大人の30倍もあるといわれる天才的能力)によって、環境から必要なものを学び取り、自分の生活に必要なものを身につけます。この時、赤ちゃんを取り巻く環境が高度であればあるほど、赤ちゃんもそれに適合して、天才的で高度な資質を身につけることができます。この胎生的吸収率は、0歳に近いほど高く、用が済めば、急速に消滅していきます。6歳以下の子どもは、学習による疲労が見られないばかりか、知的に活発になることによって、強さと健康を獲得していきます。

 まとめると次のようになります。
『才能逓減の法則』とは、
【1】教育を早く始めるほど、高い才能が育つ。
【2】才能の伸びる可能性は、成長とともに急速に減じていく。

「脳の成長」は、
【1】刺激がないと、働かない。
【2】働かないと、成長しない。
【3】栄養が悪いと、刺激があっても働かない。

適期教育こそ七田教育の神髄です。今が大切なのです。
焦らず毎日のコツコツとした楽しい取り組みを、大切にしていきましょう。