早期教育の重要性

 三鈴学園では、0才~6才までの幼児期の教育を重要視しています。この早期教育の重要性を、しちだ教育の創始者、故・七田眞 教育学博士の「できる子の親がしている70の習慣」(PHP文庫)をもとに再確認してみましょう。

 すべての生物は、誕生直後に極端な成長発達時期があります。ネズミではこの目覚ましい成長発達期は、生後30日だといわれており、この時期に良い刺激を受けたネズミは賢く育ち、そうでないネズミは劣ったネズミになり、この時期から後にいくらいい刺激を受けても成果が上がらないことが明らかになっています。ネズミの場合は30日ですが、人間の場合は0才~6才までがこの極端な成長発達時期といわれています。

 また、人間の脳は、他の器官と異なり、3才で成人の80%ができあがり、約140億個といわれる脳細胞は刺激によってつながり、その回路網は3才までにできあがってしまいます。パトリシア・クール(ワシントン大学)は聴覚について研究しており、「満1才までに耳にしなかった音は聞き取れなくなる」といい、生後一年間、1才までの言語環境の重要性を述べています。赤ちゃんは人間の生涯のうちで、最も高い素質、潜在的能力に恵まれているのです。そしてこの天才的な素質は、0才をピークに6才くらいまでしか働かず、その期間を越えて発現の機会を与えられないと、急速に減じてしまいます。これは「才能逓減の法則」とか「才能消滅の原理」とよばれています。『教育心理』に掲載された「成績不振児をつくる土壌」という調査結果によると、小学校入学からの成績不振児、約1万人中、98%の親が就学前教育に反対の親でした。この親たちは、幼児期に知的なことを教えて、子どもの心を締め付けるのは良くない、のびのびと育てるべきだと考えたり、幼児期の子どもの教育に無関心な人たちでした。

 小学校入学時には、自分の名前が読め、ひらがなで書ければいいとなっていますが、入学すると4月中旬から5月中旬までの1ヶ月間で清音、濁音の読み書き、促音、長音、拗音の読み書きまですべて習います。子どもたちは1日5文字くらいずつ覚えていかなければなりません。6月には、主語、述語の備わった作文が書けることを要求されます。

 学校の授業についていける子どもの比率は、小学校で30%、中学校で15%、高等学校で5%といわれています。あとの子どもたちは授業についていけないのです。そして、授業がつまらなくなり、学校が面白くなくなり、勉強しなさいという親に反感を覚え、目先の快楽に走っていきます。

 早期教育では、知識を学ばせることが目的ではありません。大脳が成長している時に、いい刺激をたくさん与え、それを素早く受け入れる回路網を作り上げているのです。一度聞いたら、一度見たら、一度読んだら、理解でき、記憶し、他の事柄と関係づけができる能力を育てているのです。人間の場合、より良く生きていくためには学習が必要条件になります。学習は生後から死ぬまで90年間続きます。その素地の能力が0才~6才までに決まるのです。

 学校で習うことは授業時間ですべてマスターし、余暇をスポーツや趣味、興味のあることの探求のために使う、ゆとりがあり、のびのびとした学生生活を送り、社会人になれば、多言語を上手に使い、その道のプロフェッショナルとして楽しみながら短時間の仕事を行い、高収入を得て、あとの時間は家族とともに有意義に過ごす。そのためには、0才からの早期教育が鍵なのです。我が子によりよい早期教育ができるのは、親であるあなたしかいないのです。                ( 建 治 )