第三の価値観(サード・メトリツク)

第三の価値観(サード・メトリツク)

 

『いい人生』について、アリアナ・ハフィントンの『Third Metric』CCCメディアハウス、2014年11月から、要約して紹介したいと思います。著者のアリアナ・ハフィントンは、世界的に有名なインターネット新聞「ハフィントン・ポスト」の創設者で、お金と権力を手にした世間でいう成功者です。その彼女が2007年4月に血まみれで倒れます。原因は疲労と睡眠不足でした。それから彼女は「成功とは何か」「いい人生とは何か」を考えるようになりました。そして従来からの成功の尺度①お金②権力だけでは、短期的には成功観が味わえるが、これだけではダメで、③第三の尺度(価値観)=サード・メトリックが必要であるとの結論に達しました。第三の価値観は、4つの柱から構成されています。本当に成功している人は、この4つを手にし実践している人だそうです。

 

1.ウェルビーイング(Well-being) 幸福

ソクラテスは最も大切なことは「自分の魂を大切にし、自分自身とつながる」こ  とだといっています。もっと健康に、もっと幸せになるための最高の方法は、マ  インドフルネスと瞑想です。マインドフルネスとは「今ここに集中すること」です。  例えば歯を磨く、シャワーを浴びるといった習慣の中から1つを選び、それをして  いる間、自分がしていることに注意を向ける、ただそれだけです。そうすること  で、一日の中のいくつかの瞬間を「目覚めている瞬間」にすることになります。ま  た、瞑想をしている人はしない人に比べて総死亡率が23%低く、癌による死亡  率も大幅に下回っています。

 

2.ウィズダム(Wisdom) 知恵

知恵とは、自分が本当に求めているものに気付くこと、つまり他者との「つなが  り」と「愛」が大切だと気付くことです。本当に意味があり達成感もあり欲しいもの  を見直すと、『人生に訪れたことはすべて(不幸も痛みも喪失も、喜びも驚きも幸  福も)教師であり、人生は大きな学校である』ということに気付くことです。

 

3.ワンダー(Wonder) 不思議と驚き

世界の不思議に、日常の出来事や人生での小さな奇跡に驚きと喜びを感じる心  のことを「ワンダー」といいます。この感覚を呼び覚ますには、自然や芸術に触れ  ることです。自然の中での散歩、美術館、音楽、映画、文学…などが、眠ってい  るワンダーの感覚を呼び覚ます力を持っています。また、外の世界との接触を断  ち、沈黙の時間を持つことも大切です。

 

4.ギビング(Giving) 与えること

私たちは他者に与えれば、豊かで満ちあふれた気持ちになれます。アインシュ  タインは「他者のために生きる人生だけが、生きるに値する人生」といっています。  研究によれば、ボランティアは鬱病発症率の低下、幸福感の上昇、死亡リスクの  減少と関連し、ボランティアをする人は長生きをします。

 

幸せで豊かなな人生を送るためには、まず親がこの4つの柱の理念を実践し、その環境の中で子育てをしていきます。それが我が子の幸せにつながっていき、未来を生き抜く力の基礎になると確信しています。

( 建 治 )