良かった探し

 2015(平成27)年もあと少しの日を残すのみとなりました。1年の終わりのこの時期に是非して欲しいことがあります。それは、この1年の出来事や取り組みを家族で発表し合い、まとめることです。それが来年へと続く素晴らしい流れをつくります。病気や怪我、辛かったことも出し合えばいいです。でも、できたら家族みんなで『今年の良かった探し。○○ちゃんの良かった探し』をして、記録にまとめることを勧めます。これが本当に楽しくて、幸運を呼ぶ癖につながります。

 

 『良かった探し』は、今から約30年前1986(昭和61)年にフジテレビ系で放送されたアニメ「愛少女ポリアンナ物語」で有名になった言葉・生き方です。保護者の方には毎週日曜日に楽しみにして見ておられた方も多いと思います。原作はアメリカの作家エレナ・ホグマン・ポーター(18681920)が書いた「少女パレアナ」「パレアナの青春」(19131915)で、先年のNHKの朝ドラ「花子とアン」の主人公、村岡花子が日本語に翻訳し紹介しています。

 ストーリーは、幼くして父を亡くして孤児となったポリアンナが、牧師であった父親の遺言「よかった探し」をして、貧しさや不幸に負けず頑張っていくお話です。孤児のポリアンナは、4歳で亡くなった母親の妹、叔母のパレーに引き取られます。叔母は34歳で独身。度重なる不幸のため心を深く閉ざしています。8歳のポリアンナは、叔母のひどい仕打ちにもめげず、いつも明るく、周囲の人の良いところをみつけ、日々の生活の中で感動したこと、うれしかったこと、美しいものを発見したことなど、良かったことを探し、周囲の人に楽しく伝えていきます。そんな明るくて前向きなポリアンナに、周りの人たちも少しずつ心を開き、笑顔が出始め、変わっていきます。ところがポリアンナは、自動車事故で神経を痛め歩けなくなります。この試練も叔母パレーと共に、良かった探しで耐え、難しい手術を受け、歩けるようになります。ポリアンナの良かった探しの生き方で、周囲の人たちは、複雑で醜い人間関係の歪みが徐々にとれ、憎しみや誤解から解放され、笑顔で、幸せになっていくというストーリーです。

 この小説のポリアンナの生き方は、心理学にも影響を与え、『ポリアンナ効果』(チャールズ・E・オスグッド1964)という言葉まで生み出しました。

 

 たくましく生き抜く力の原動力になるのは、健康と気力(意欲)です。健全な気力は、成功体験、達成感、自己肯定感、身近な目標などにより培われ、強いものになっていきます。家族みんなで、今年の1年を振り返り、楽しくて意味のある総括をして下さい。司会はお父さんかお母さん、記録を書く人を決めます。記録は、それぞれの個人用の紙に別々に書いていきます。

 まず1月に家族のみんなにあった良かったことを思い出し記録します。遊んだこと、発表会のこと、仕事のこと、旅行のこと、うれしかったこと、楽しかったこと、運動のこと、趣味のこと、食べ物のこと、頑張ったことなど何でも良いのです。12月まで楽しく思い出し記録します。 次は、記録をもとに、家族一人一人の今年の良かったことを、記録を見ながら順番に発表し、補足し、家族みんなでお祝いの拍手をします。みんながそれぞれを認め合い励まし合う素晴らしい会です。記録はまとめて表紙をつくって保管します。家族の宝物です。

                                                     ( 建 治 )