理科実験教室からわかること

三鈴学園では他のしちだ教室にはないコースがいくつかあります。理科実験教室、自然体験教室、ミュージカル、音楽個別指導などです。理科実験教室と自然体験教室は、私(熊代)が理科の教師なのでその専門性を生かして20数年前から開講しそれなりの成果を上げています。その一端を紹介したいと思います。

 

理科実験教室は子どもたちが大好きな理科実験を安全に楽しく体験させて、理科への興味・関心を本物にするためにしています。小学1年生から受講でき、初級(70分)、中級、上級(100分)とあり、上級クラスはA・B 2コースあり、4年間受講できますが、多くの子どもたちは上級コースを2回受講しています。

理科実験教室は、最初の10分間『理科基礎知識プリント』から始まります。元素記号をおぼえることからはじまる化学コースのプリントが1~28、生物1~7、地学1~3、物理1~2とあり、初級では2分(120秒)間で、中級上級は100秒間でします。時間内ででき、正解していれば次のプリントをします。プリントの内容は高校までに出てくる基礎基本となる知識です。このプリントの裏表2枚を、毎日覚えながら早く書いて練習し、レッスンに臨みます。集中力、記憶力がなければできません。実験の中ではこの知識を使って説明をしたり確かめたり、考えたりします。

次に実験の内容を説明し、方法を考えさせながら教えてから、子どもたちが一人一人実験をします。説明をよく聞いて理解していなければ、どうしていいのか解りません。方法、コツが飲み込めいなければ、こぼしたり、割れたり、失敗します。失敗は成功の基です。私たち指導者は危険でなければ、ニコニコと笑って見ています。子どもに聞かれると『さっき説明しました』とそっけない返事をします。分からない子どもは友だちがしているのを見てヒントをつかみ、まねをします。自分で全てするので緊張とワクワクの連続です。

実験が終わると片付けとまとめをします。

 

楽しく緊張感を持って自分で作業、実験をするので、初級の子どもたちも一年経つとめざましい進歩をします。紹介します。

(1) 危険防止を最優先で教えています。片付けをすること、置き場所のこと、薬品のこと、やけどのこと、逃げること、目を守ることなどです。危険から自分を守る方法を身につけています。

 

(2) 基礎知識プリントは1年生2年生の子どもたちも化学の12位まで進みます。中には化学のプリント27、28(元素の周期表)が終わり、生物のプリントをしている子どももいます。プリントが進めるかどうかは、ゲーム感覚で毎日5分間プリントができているかです。

(3) 先生の話を、目を見て、真剣に聞くことができるようになります。聞いて理解できていなければ、どのように実験していいか分かりません。誰も助けてくれません。集中して聞く力が必然的に育っています。

(4) 実験技能はきちんと教えて、練習させます。メスシリンダーで液体の量をはかること、電子天秤で質量を測ること、マッチの付け方、アルコールランプの使い方、試験管の使い方など、失敗して水や薬品をこぼしたりしながら、確実に上手になります。1年経つと地域の中学生よりはるかに上手で安定しています。

(5)  自分の頭で考えるということは、今までの経験や持っている知識を活用し、再構築する過程のことです。基礎知識プリントで覚えた知識を使って、実験結果を予想します。『どうなるかな? どうしてかな? どう考えたらいい?』と絶えず指導者が問い、子どもたちに聞きます。訳の分からない答えから、少しずつ的を得た答えになってきます。

(6) 実体験がいっぱいです。物がなくなった。色が変わった。凄い匂いがした。激しく燃えた。音が出た。光が出た。泡が出てあふれた。吹き飛んだ。空高く飛んだ。非日常の驚くことがいっぱいで興奮します。

(7) お父さん、お母さんが知らない知識を持っていたり、道具を上手に使える実感があるので、理科に自信があり、得意感を持っていて、理科大好きです。

 

子どもたちの脳力、能力、技能の進歩はすさまじいものです。上級クラスの子どもたちは、かなり危険な高校生がしている実験をいとも簡単にこなしています。本当に驚きです。子どもたちが楽しく実験をしながら、進歩しているのを体感している時が、私の幸せです。

( 建 治 )