親の仕事は、愛を伝えること

親の仕事とは、
『我が子の命を守り、愛を伝え、幸せな自立ができるように導き、確認すること』です。前回は、「我が子の命を守る」ことについて考えました。

今月は、「愛を伝える」ことについて考えてみましょう。人生の目的は、幸せになることで、それこそが善であると言った哲学者がいます。「幸せとは、心の満ち足りた状態」をいい、心が満ち足りた状態とは、①愛し愛される人がいる ②生き甲斐がある ③心安らぐ所がある ④命の保証がある時です。人はみんな幸せになりたいと思い、いろんなことをします。何を一番に考え、何をしたらいいのでしょうか。

幸せになるには、「人を愛すること」が必要なのです。愛とは、見返りを考えないで、相手のために尽くす心・行為のことです。人を愛することができるためには、人から本気で愛してもらった体験こそが大切で、不可欠なのです。しっかり愛してもらった子どもが、他人を愛すことができ、幸せになれるのです。釈迦もキリストも親にしっかり愛してもらっていたからこそ、他人に慈悲を、愛を注ぐことができたのです。親の我が子への愛こそが心をつくり幸せへと導くのです。

親の仕事は、まさにここにあります。時間や手間を惜しまず、我が子をしっかり愛することです。可愛い、可愛いといいながら抱きしめ、撫で、頬ずりをします。おりこうさんと言いながら、笑顔をいっぱい注ぎます。すごい、すごいと言いながら、一緒に遊びます。よし、よしと言いながら不快を減らしてあげます。うん、うんとうなずきながら、いっぱい話を聞いてあげます。できた、できたと言いながら、いっぱい誉め、自信をつけます。おいしいねといいながら、一緒に食事をします。気持ちいいねと言いながら、一緒にお風呂に入ります。楽しいお話をしてあげながら一緒に寝ます。ニコニコしながら、見守ります。大切に思っているよ、愛しているよと抱きしめながら、言葉でも伝えます。生きていく術をきちんと教え、練習させて、ある時は叱ります。自分に向けられたこの幸せな体験(愛の行為)こそが「幸せの芽」になり、人を愛することができる原動力となります。可愛いからこそ、見返りを考えないでできる親の仕事なのです。

我が子をいとおしく思い、愛せば愛するほど、親は幸せを感じます。生さている喜び、輝きを感じます。親の幸せは、子どもを愛することによって、子どもからもたらされます。親はこの愛の行為により、自分が生きている本当の意味を知ることができます。
幸せは、我が子を愛し、配偶者を愛することから始まります。そしてその愛は子どもに伝わり、子どもは他人を愛することができ、幸せになるのです。愛は、地球を宇宙をぐるぐる回って、幸せを広げていきます。きっと宇宙全体を幸せにするのが、人間の使命なのでしょう。

( 建 治 )