みんなのために働くこと

 多くの人は、幸せになるために生きています。どうしたら幸せになれるのでしょうか。生き甲斐を探したり、健康に気をつけたり、お金を稼いだりするのももちろん大切です。でも『幸せを一番実感できるのは、誰かを愛すること』ではないでしょうか。誰かのために自分が何かをし、その人が笑顔になった時、いい知れない心の満足感を感じます。この満足感が幸福の原点ではないかと思います。

 誰かとは、伴侶であったり、親や子どもであったり、友人や隣人、ペット、特定の地域や物である場合もあります。また大きく人類や地球である場合もあります。愛するとは、損得、見返りを考えないで、その人のために尽くすこと、その人のために良いことをすることです。その人が幸せになれるにはどうすればよいかを考え、働くことです。

 反対を考えると、自分のことばかり考え、自分のこと以外には何もしないという姿勢では、幸せには縁遠い状態になります。

 

 自分以外の誰かを愛するという幸せへのパスポートのような行為は、なかなかできません。これができるためには、大切な条件があります。

 それは、誰かに愛してもらった体験です。『いい子だね』『可愛いね』『おりこうさん』『一緒にいたい』『好き』と肯定的な言葉をかけられ、抱きしめられ(スキンシップ)、不愉快なこと(飢餓、寒暖、照明、不快、不潔など)を除いてくれ、一緒に遊んだり、楽しんだりする体験をすることです。絶対的に信用・信頼できる人の存在があることです。

 この体験の上で、愛してもらっている人に用事を頼まれ、それをした時、満面の笑顔で感謝され、誉めてもらった時、『自分は役に立ったんだ。認められたのだ。』と、自信とともに素晴らしい満足感を感じます。

 次のステップは、困っている人を助けることです。お母さんが忙しくしている時、手伝う。おばあさんが重いものを持っている時に手伝う。泣いている兄弟の世話をする。最初は、親が場面を見つけて、手伝うように教えてあげます。相手の感謝を期待してはいけません。親がいいことだよと言い、力一杯誉めます。そのうち自分で手伝う場面を見つけるように向けます。その時は抱きしめて、最大限のご褒美の言葉と笑顔です。

 手伝う、気にかける、愛する対象が、家族から地域の人、友だち、動植物へと広がっていきます。そして『みんなのために働く』ことが自然にできるようになります。自分がみんなを愛することができるようになります。すると不思議なことに、みんなから愛される存在になります。

 

 親の仕事は、①我が子を無条件に愛すること。我が子のために尽くし、楽しい体験を一緒にすること。②用事・仕事を頼み、心から感謝し認めること。③家族の中で困っている場面を親が探し、手伝いを促し、感謝すること。④子どもが自分で手伝う場面を見つけるようにし、できた時は力一杯抱きしめること。⑤手伝う、愛する対象が外に広がるように、子どもの目を向けること。

 大切なことは、『相手からの感謝・お礼・見返りを期待しない』ことです。     ( 建 治 )