ユダヤ人の教育に学ぶ

 世界の中でユダヤ人と華僑の人は独特の存在感があります。いろいろな資料からデータをもらい、ユダヤ人の教育について紹介したいと思います。七田教育と共通点が多く、参考になると思います。

 ユダヤ人とは、ユダヤ教の信者あるいはユダヤ人を親に持つ者によって構成された民族集団です。西暦70年にローマ帝国によりエルサレムを滅ぼされ、放浪の民になり世界中に散らばりました。1948年イスラエルの建国により国土を持ちましたが紛争が絶えません。ユダヤ人の人口は、1,360万人(日本の約1/10)、そのうちイスラエルに570万人、アメリカに530万人、以下フランス、カナダ、イギリスにもたくさんのユダヤ人が住んでいます。ユダヤ人は、お金持ちが多く、世界の金融やメディア、流通業など基幹となる部分をおさえ、家族を大切にし、賢い人をたくさん輩出しています。ユダヤ人の人口は、世界の人口72億5千万人の0.2%に過ぎません。しかし、今までノーベル賞をもらった約800人の中でユダヤ人は189人、なんと24%を占めています。経済学賞にいたっては60%を越えているそうです。なぜ、ユダヤ人は賢くて、天才と呼ばれる人を多く輩出しているのでしょうか。その秘密は、まさに教育にあります。

 ユダヤ人の家庭では、生まれたときから宗教教育が実施されます。3歳頃から文学や読み書きを習います。4歳からは「モーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記……)」の暗唱が始まります。5歳からは「預言書」「聖文学」「タルムード(全30巻、律法集、歴史書、格言集、民話伝承集、……)」を学び始めます。12歳の頃には、「モーセ五書」はほとんど暗記しています。13歳で成人式。このときにはユダヤ教の基礎はマスターしていて、勉強習慣もついています。そして、全寮制の「ボーディング・スクール」に入学します。ボーディングスクールは、中高一貫教育校のようなものですが、すごく充実しています。まずは自然に囲まれ学習環境が桁違いに良い。次に先生・授業・教育理念の質が高いことです。先生は、博士号を持ち大学教授を務める能力を持っている人が多く、年収も10万ドル(約1,000万円)。この類いの学校は、アメリカだけでも350校以上あり、どの学校に行くかは、親子で熱心に検討するそうです。ユダヤ教では、勉強することが最も神に近づく霊的宗教行為とされ、死ぬまで続けます。生まれたときから、普通のこととして、学習環境があり、暗記をしていきます。賢くなるのは当たり前のことです。

 次にユダヤ人の親は、子どもを良く褒めます。褒めることをシステム化しています。2歳の子どもが聖書の一節を暗記したとき、成長の区切りごとに、家族が大騒ぎをして褒めたたえるのです。甘い蜂蜜をご褒美として、スプーンに一杯与えます。 ユダヤ人の教育環境では、次のような好循環が生じています。

【1】親が子どもを褒める
【2】子どもの中に、安心感と平和が生まれる
【3】子どもの脳波がα波になる
【4】子どもの学習能力、理解力が向上する
【5】子どもは親のアドバイスをよく聞き入れる
【6】子どもは間違いを繰り返さない 
【7】(1)に帰る。

 ユダヤ人は、マルチリンガルです。世界中に散らばったユダヤ人は、母語のヘブライ語に加えて、その土地の言語の読み書きができるようになりました。フランスが世界の中心だった時、フランス語の読み書きができたユダヤ人は、いち早く時代の流れを掴むことができ、他地域のユダヤ人に伝えました。イギリス帝国が世界を操っていたとき、英語の読み書きができたユダヤ人は、産業革命の波にいち早く乗ることができ、豊になりました。
 現在は、アメリカが世界の中心です。最新の情報は英語でアメリカから伝えられます。情報を制することが生き残る必須条件です。ユダヤ人が数千人住んでいる日本でも、たいていの家庭では、幼児期からヘブライ語、英語、日本語の3カ国語が教えられ、子どもたちは使えるようになっています。最近では世界一の人口を持つ中国語も注目されています。

 歴史の中で翻弄され、苦難の道を歩んできたユダヤ人。ユダヤ人が生き残るために、一番力を入れてきたのが教育ではないかと思います。私たちはユダヤ人の教育から、もっとたくさんのことを学んでいく必要がありそうです。